サイト売買で失敗しないために
サイト売買には大きなメリットがあります。一番のメリットは売り手はまとまったお金を得ることができ、買い手は実績のあるサイトを購入できることです。このことから個人法人問わず、サイトを売買するケースが増えてきています。
しかしながら売買にはリスクも伴います。お金に関するトラブルから、運営に関するトラブルなどリスクは様々です。ですが安心してください。これらのリスクは事前に対策をとることで大幅に減らすことができます。
このページではサイト売買のリスク・失敗例とその対策をまとめました。売買にぜひ役立ててください。
サイトを購入するリスク
お金を支払ったのにサイトが譲渡されない
サイト売買で最も避けたい失敗です。
事前に住所を含めた個人情報を交換し、Googleマップなどで実在する住所か確認してください。
そもそも所有していないサイトを、恰も所有しているふりをして出品している可能性もあります。購入予定のサイトに記載してある連絡先へ問い合わせを行い、売主が本当にサイトを所有しているか確認しましょう。
リスクを減らす方法として分割支払いもあります。例えば先に半額を支払い、譲渡後に残りを支払う形です。
最も安全なのがエスクロー決済と仲介業者の活用です。エスクロー決済にはアズカリなどがあります。
サイトの運営・管理が大変だった
いざ更新してみると想像していたより大変だった、時間が必要だったケースです。
どういった更新作業か、どの程度の時間を要するかを売り手に確認しましょう。
規模の大きなサイトは運営に携わっている数、外注の有無も確認してください。
WordPressなどのシステムを利用している場合、必要なスキル、カスタマイズの有無も確認します。
カスタマイズが施されていたら、カスタマイズ内容をマニュアルにしてまとめてもらえないか尋ねましょう。
サポートが受けられない場合は購入の見送りも一案です。
システムが使えなくなった
まずはじめにシステムの開発・サポートが継続しているか確認しましょう。
終了または放置されているシステムは今後動かなくなる可能性やセキュリティの問題が発生するリスクがあります。
また、アップデートで機能が削除されたり追加される可能性があります。
機能の削除で動作が軽快になることや機能の追加で利便性が向上することもありますが、必要な機能が削除されたり機能が増えすぎて煩雑になったりと、逆に働く可能性もあります。これは売り手にも予測はできません。
購入後のサポートが受けられない
購入後、サポートが必要になったのに受けられなかったケースです。
契約前にサポート期間とサポート内容を話し合い、契約に盛り込みましょう。
期間は1~2か月、長くても3か月が一般的です。連絡先の確認もお忘れなく。
運営費用が予想以上にかかった
ドメインの更新費を忘れていたなどの初歩的なミスから、売り手の人件費が含まれてなかったなど、
売買サイトに記載されていたコストと実際のコストが違うケースです。
ドメインの更新は1年に1回のため忘れがちなコストです。ほかにも忘れがちなコストがあるので、売り手に間違いがないか確認しましょう。
売り手自ら更新を手掛けていた場合、売り手の人件費が含まれていないことが多々あります。作業時間を聞き、人件費を想定しましょう。
また、記事などを外注していた場合、予算に合う外注先が確保できない可能性もあります。外注先を紹介してもらえないか確認しましょう。
売主が類似サイトを開設した
売り手が取り引き終了後に類似サイトを公開したケースです。悪質なケースでは売却したサイトの大部分を流用するケースもあります。
売り手はノウハウを持っているので強力なライバルとなり得、アクセス数と売り上げが減少するなどの不利益を被る可能性があります。
これを防ぐには類似サイトの公開を禁止する「競業避止」を契約書に盛り込みます。必ず類似サイトの定義と適用期間も設定します。
類似サイトの定義が曖昧だと、後々もめる可能性があるのでキッチリと決めてください。
アクセス数や売り上げが記載している数値と違った
購入前に確認したアクセス数・売り上げと購入後のアクセス数・売り上げが大きく異なるケースです。
アクセス数と売り上げが多いほど高値で売却できるため、数値を偽装する売り手がいないとは限りません。
交渉時にGoogleアナリティクスなどのアクセス解析のデータを提出してもらいましょう。
アクセス解析も水増しが可能なので、滞在時間、直帰率、流入元に不自然な点がないか確認してください。
ただし、取引中に検索順位が大幅に下落してしまう可能性もあります。
在庫が含まれていない、在庫の管理がアバウトだった
ECサイトを購入する際は在庫も含まれるのか、在庫の管理状況も確認してください。
在庫の状態は実際に見て確認するのが一番ですが、難しい場合は写真を送ってもらいましょう。
また、交渉期間中の在庫・売り上げの扱いについても決めておきましょう。
また、ECサイトがモールタイプかレンタルのECシステムを利用している場合は
販売手数料をはじめとした各種手数料が発生するのかも併せて確認してください。
サイトとドメインの引っ越し・移管に失敗した
引っ越し・移管の失敗はデータの消滅やユーザー離れといった大きなリスクがあります。
データは必ずバックアップを用意してもらい、引っ越しに不安がある場合はサイト引っ越し代行サービスの利用も検討しましょう。
ドメイン移管はユーザー間で譲渡が可能な管理会社で行うと迅速かつ安全に移管ができます。バリュードメインなどがユーザー間譲渡に対応しています。
検索の順位が一気に下がった
購入後にGoogleのアルゴリズム変更で検索順位が下落し、アクセス数と売り上げが減少してしまったケースです。日本ではGoogleのシェアが高いため、Googleから低評価を受けると大きな痛手です。
これは誰も予測ができないため、売り手を責めることはできません。サイトに修正を施し、新アルゴリズムに対応するしかありません。
また、SNSを活用するなど検索サイト以外の流入経路も確保しましょう。
そのほか、GoogleはYMYLジャンル(金融・健康・時事・法律など)に対して厳しくなっています。
YMYLジャンルの購入はよく検討してから決めることをおすすめします。
Googleからペナルティを受けていた
ペナルティを課せられると検索順位の大幅下落や最悪のケースでは圏外になってしまいます。
このことから、ペナルティを受けているサイトの購入は避けるのがベターです。解除はできますが大きな手間はかかりますし、不確実な部分も多くあります。
しかしながら、第三者からはペナルティの有無の判断は難しいのが実情です。
運営者であれば、重度のペナルティである手動ペナルティはGoogle Search Consoleから確認が可能です。困ったことに軽度のペナルティである自動ペナルティの有無は運営者にもわかりません。検索順位の急な下落、インデックスの削除などから予測するしか方法はありません。
売り手がGoogle Search Consoleに登録しているなら、手動ペナルティを受けてないか、急な検索順位の下落、インデックスの削除がないか確認してもらいましょう。また、検収期間にGoogle Search Consoleへ登録し問題がないか確認しましょう。
そのほか、サイト名、URLで検索してみて上位に表示されない場合は注意が必要です。
ASP(アフィリエイト)に登録できない・広告が終了した
売り手がASPからサイト情報を削除していないため、新たに登録できないケースです。譲渡前にASPの登録は解除してもらいましょう。
売り手と連絡がつかない場合は直接ASPに運営者が変わった旨を伝え、登録できないか相談してください。
また、クローズドASPを利用してる場合は、売り手に紹介してもらえるか、登録が可能か確認しましょう。
広告単価の減少と広告の終了は大きな痛手となります。しかし、単価変更と広告終了は売り手も予測ができません。代替広告がないか探しましょう。
また、1つの広告に依存しているサイトは広告終了時のリスク大きいので注意が必要です。
サイトを売却するリスク
お金が振り込まれない
買い手がトラブルにあうケースが多いのですが、売り手にも起こりえるトラブルです。
事前に住所も含めた連絡先を交換し、Googleマップなどで実在する住所か確認しましょう。
サイトデータとドメインを一括で渡さずに、分割で渡すなどしてリスクを分散させましょう。
例:データ受け渡し→代金振り込み→ドメイン移管
最も安全なのがエスクロー決済または仲介業者の活用です。エスクロー決済にはアズカリなどがあります。
相場・希望よりも安くなってしまった。
サイト売買の相場は月間利益の18倍~24倍といわれています。あくまでも目安であり、決まった金額ありません。
愛着もあるので安くは売りたくないと思いますが、サイトの維持にもコストはかかります。また、掲載開始直後が一番人目に付きます。この時に価格があまりにも高いとチャンスを失う可能性があります。これらを念頭に置きながら価格の調整をしましょう。高値で売るには忍耐も必要です。
また、一部のサイト売買サービスでは数パーセントの手数料が発生します。ただし、手数料には最低手数料も設定されていることが多いので注意が必要です。手数料も考えて利用するサイト売買サービスを選びましょう。
情報だけ抜き取られてしまった
システムやマネタイズ方法など重要な情報を伝えたら音信不通になってしまったケースです。
問い合わせの中には購入の意思のない、情報だけが目当ての人もいます。
URL、マネタイズ方法、使用システムなどの情報を伝える際は段階的に伝えるなど、伝え方に気を付けましょう。事前に秘密保持契約を結ぶのも一案です。
売却後にアクセス数や売り上げが増加した
売却後にメディアやSNSで紹介されてアクセス数や売り上げが増えたケースです。
ショックですが、残念ながら売却後なのでどうすることもできません。ここで類似サイトを作成すると、契約内容によっては競業避止義務違反となるので注意してください。(契約上問題なくてもモラルとしておすすめできません。)
また、アクセス数の増加は一時的な可能性もあります。
サイトの移転に失敗した
サイト売買ではサイトが商品です。商品が無くなってしまったら取り引きできないので、必ず各種データのバックアップを取りましょう。サイトの引っ越しを代行してくれるサービスもあるので、心配な場合は活用しましょう。
ドメインの移管に手間取った
ドメインの移管に手間取ってしまったケースです。時間がかかってしまうと、買い手に不信感を抱かせてしまうので避けたい事態です。
ドメインの新規取得と違い、ドメインの移管は慣れてない人も多いと思います。ただ、ドメイン管理会社のホームページに移管手順が掲載されているので問題はないと思います。
注意したいのはドメインの有効期限が30日未満(15日未満の場合もあり)ですと、ドメイン管理会社から移管を断られることがあります。また、ドメイン更新直後も約5日間はドメインの移管ができません。
有効期限は迫っているドメインは、更新手続きを行ってから出品しましょう。
そのほか、新規取得から60日が経ってないドメインも移管ができません。
競業避止義務に違反してしまった
サイト売買では類似サイトの運営を禁止する「競業避止義務」を結びます。これは売り手はノウハウを持っており、買い手のライバルとなり得るためです。
注意してほしいのは契約時に類似サイトの定義を明確にすることと有効期限を設けることです。曖昧な定義はトラブルの元ですし、有効期限を設けないとずっと類似のジャンルは運営できないことになってしまいます。
競業避止義務の有効期間中に類似サイトを運営するのはやめましょう。競業避止義務違反で訴えられる可能性があります。
また、売却前から類似サイトを運営している場合でも、トラブルを避けるために事前に相手に伝えましょう。
まとめ
サイト売買の失敗例を紹介しました。
このようにサイト売買にはリスクも多く、躊躇してしまうかもしれません。しかし、事前に入念に確認を行い、きっちりと契約を交わすことでリスクを減らすことが可能です。
アルゴリズムの変更やアフィリエイト広告の終了などの避けることのできないリスクもありますが、
これらは一からサイトを作ってもサイトを購入してもリスクは同じです。
これはサイト運営の宿命といっていいでしょう。変化に適応するしかありません。
今回紹介した失敗例と対策を参考に、後悔のない取り引きを行ってください。